「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」とは何か──ボイストレーニング論その四

ボイストレーニング論の第四回です。前回「地声」「裏声」について論じたのに続き、今回は「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」について説明します。

※ボイストレーニング論は全十五回です。「裏声を練習すればミドルボイスが身につく?」「ミドルボイスって地声? 裏声?」「ミドルボイスの音源が聞きたい」そんな方はぜひお読みください(全記事一覧は、カテゴリ「ボイストレーニング」か、記事「ボイストレーニング論」参照)。

ボイストレーニング論その四の要旨

  • 「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」は、声帯にかかる張力や、声帯の振動する長さ、声帯の厚みが異なる。
  • 「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の三分法は、「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」を分析できるメリットがあるが、「地声」や「裏声」を分析できないデメリットが存在する。
  • 「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」が「胸に響く」「頭の上に響く」などといわれるのは、声帯の伸展・削減による振動部位の変化があるためである。

目次

声区に対する考え方

そもそも、皆様は「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」という言葉をご存じでしょうか。

「地声」「裏声」という言葉は、元々日本語ですし、一般に膾炙した言葉ですから、誰しも知っているはず。しかし、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」となると、ボイストレーニングに詳しい人以外は知らないでしょう。

この三つの単語は、英語の「Chest Voice」「Middle Voice」「Head Voice」に由来します(名称の由来については、「チェストボイス」「ヘッドボイス」は胸と頭に響くのかをお読みください)。海外由来の概念ですから、「Chest Voice」などで検索すると、海外の色々なページがヒットします。

ちなみに、「チェストボイス」「ヘッドボイス」という概念は歴史が古く、13世紀頃まで遡るのだそうです。ただ、この話はボイストレーニングとは関係ありませんので、後述の「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ファルセット」の歴史に書きました。興味のある方だけお読みいただければ結構です。

歴史の話はさておき、この三つの用語は海外、特に西欧のオペラや合唱などのジャンルで唱えられ、それがポップスにも引き継がれ、「地声」「裏声」の二分法に変わる概念として日本にも輸入されました。

前回も述べましたが、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の三分法は、「地声」「裏声」では説明できない概念を説明できるという長所はあるものの、別の短所も備えています。今回は、三分法の概要と、その長所・短所について述べてゆきます。

「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」とは

そもそも「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」とは何でしょうか。

まず、烏は歌うというブログのそれじゃあ「地声」「裏声」って一体なんなのか問題(2013年7月11日)という記事では、こんな定義がされています。

・チェストボイス

声帯の全体が、比較的厚さを保ったまま開閉運動を起こし、振動しているときの声。
(中略)
・ミドルボイス

チェストボイスより、声帯が薄くなり、かつ開閉運動を起こして振動する部分が減った(半分程度になると言われている)、チェストボイスより高音が出せる状態で出す声。
(中略)
・ヘッドボイス

ミドルボイスより、さらに声帯が薄く引き伸ばされ、さらに開閉運動を起こして振動する部分が減った(1/3か1/4程度になると言われている)、ミドルボイスよりさらに高音が出せる状態で出す声。

これはよくまとまった説明ですが、具体的にどういうことかイメージしづらいでしょう。これを詳しく知るためには、声帯について知る必要があります。そこで、前回に引き続いて声帯の説明を致します。

声帯が振動数を変える仕組み

個人差もあるのですが、声帯の長さは、成人男性で17~23mmほど、成人女性で12.5~17mmほどです(ボイストレーニングのブレスヴォイストレーニング研究所)。つまり、成人男性だと平均2mm、成人女性だと平均1.5mmです。こんな小さな器官で、低音から高音まで発声できるのは驚くべきことです。

こんな声帯ですが、一体どのようにして振動数(声の高さ)を変化させているのでしょうか。

声帯の振動数を変化させる方法は、以下の三つです。

  1. 声帯の張力を変化させる
  2. 声帯の振動部分の長さを変化させる
  3. 声帯の振動部分の厚さを変化させる

これには物理学的な数式もあるのですが、ここでは数式は措いて、大まかに説明致します(詳しく知りたい方は、後述の声帯の振動に関する物理学的考察をお読みください)。

1. 声帯の張力を変化させる

「張力」とは、これは声帯を引っ張る力のことです。この力が強いほど、振動数は上がります。

例えば、ギターの弦を張るとき、きつめに張ると、高い音になったりします。これは、弦を強く張ったことにより、張力(テンション)が上がったからです。

これと同様に、声帯も伸ばすことによって張力を上げることができるのですが、このとき強く働く筋肉が、引用文にある「輪状甲状筋」と呼ばれる筋肉です。

前回も引用した吟剣詩舞音楽 on STAGEの中の、
声帯靭帯を伸ばす喉頭の働きというページから、図と文章を引用します。

輪状甲状筋

輪状甲状筋が働くことによって、甲状軟骨が前に傾き、その結果、内部の声帯が伸ばされる仕組みになっています。

図の中で、オレンジ色の実線と点線で描かれたのが声帯で、赤色の太線で描かれたのが「輪状甲状筋」です。

図を見ると、黒い実線で描かれた部位と、黒い点線で、左下に少し傾いて描かれた部位がありますね。これが「甲状軟骨」です。

輪状甲状筋が働くと、甲状軟骨が(黒い点線のように)傾き、声帯が伸びるようになっています(注1)。その伸びた状態の声帯が、オレンジ色の点線の箇所です。

なお、張力は、輪状甲状筋によって声帯を伸ばす以外にも、声帯を硬直させることでも上げることができます。吟剣詩舞音楽 on STAGE
交差筋の驚異から図を引用します。

声帯筋

オレンジ色の部分が声帯靭帯ですが、この周りに、声帯筋・側筋・横筋などの筋肉が存在します(この三つを総称して「閉鎖筋」と呼ぶことがあります)。この筋肉が声帯を緊張させることにより、振動数を上げることができます。

以上をまとめると、声帯を伸ばして張力を上げるか、声帯を緊張させることによって、振動数を上げることができるということです。

2. 声帯の振動部分の長さを変化させる

物理学によれば、弦の振動する長さを半分にすると、振動数が2倍になります。この原理を利用して、振動数を上げることができます。

しかし、ブリッジなどを使って弦の振動する長さを変えられる弦楽器と違い、人間の声帯の長さを変えることは不可能です。では、どうやって振動する長さを変えるのか?

これを説明する図を探したのですが、分かりやすいものがなかったので、自分で描きました。私の下手な絵ですが、以下をご覧ください。

声帯の振動と削減

これは、声帯を上から見た図です。図にある黒い太線が、声帯の二つの襞があわさった声門とお考えください。図の上が声帯前方、下が声帯後方です。

黒い太線の上に赤い波線がありますが、これは、その部分の声帯全体(声唇と声帯靭帯)が振動していることを意味します。

黒い太線の上に在る青い実線は、その部分は声帯の二つの襞がぴったりと接触しており、振動していないことを意味します。

左の「チェストボイス」は、声帯全体が、声唇・声帯靭帯に至るまで振動している状態です。いわゆる「地声」に近い状態です。

中央の「ミドルボイス」は、声帯の前方の一部分だけが振動しておらず、残りの部分が声唇・声帯靭帯に至るまで振動している状態です。

右の「ヘッドボイス」は、振動しない部分の割合が多く、振動する部分の割合が少なくなっただけで、後は「ミドルボイス」と同様です(注2)。

これは、声帯の一部を接触させることによって振動の起こらない部分を作り、振動部分の長さを変化させるという原理です。声帯の振動しない部分を作ることを「声帯削減」と呼ぶことがあります。

また、衣服のジッパーを閉めるように、声帯を閉めて振動しない部分を作ることから、「ジップアップ理論」「ジッパー理論」と呼ばれることもあります。恐らくですが、この「ジッパー理論」を広めたのは、『ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術』という本ではないかと思います。

追記: 『ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術』をはじめとするボイストレーニング教本については、第十一回で取り上げました。後述の「れみぼいす」については第十三回参照。

この説は根拠薄弱といわれることも多いのですが(れみぼいすなどは声帯削減を否定しています)、私は結構説得性のある説だと思います。というのも、以下の動画で、実際の様子を確認できるからです。

前々回も紹介したスティーブン・タイラーの声帯の映像ですが、5:20以降のタイラーの声帯の様子に注目してください。声帯前方(画面に向かって下)が接触しており、声帯の後方しか振動していないことが確認できます。

タイラーが歌うこの曲は「Dream On」という曲で、5:20頃にタイラーが歌っているのは、G5(HiG)という超高音です。このあたりは確実に「ヘッドボイス」の音域ですから、上記の説に合致しています。

追記: ただし、声帯削減は声帯閉鎖によって起こると『ハリウッド・スタイル 実力派ヴォーカリスト養成術』では述べていますが、これは誤りで、本当は声帯の伸展によって起こります。詳しくは第十四回参照。

3. 声帯の振動部分の厚さを変化させる

張力や振動の長さ以外にも、振動数を変える方法があります。振動部分の厚さを変えることです。

以下の私の絵をご覧ください。

声帯の伸展
今度は、声帯の断面図です。前回紹介した声帯の断面図を、さらに簡略化したものと考えてください。先ほどと同じく、赤い波線が声帯の振動部分です。

赤い波線を見ると、「チェストボイス」のときは波線が長めで、「ミドルボイス」「ヘッドボイス」となるにつれて、波線が短くなっているのが分かるでしょうか。これは、声帯の接触する部分の長さが短くなっている、いいかえると声帯が薄くなっていることを意味しているのです。

このように、声帯の振動する部分の厚さを変えることによって、振動数を変えることができます。なぜかというと、振動部分が薄くなると、振動部分の線密度が下がるからです(詳しくは声帯の振動に関する物理学的考察参照)。

なお、これは1番の「声帯の張力を変化させる」ことと密接にかかわっています。というのも、声帯の振動部分を薄くするためには、声帯を伸展させる必要があるのですが、声帯を伸展させれば、張力も変化するからです。

「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の定義

ここまで、声帯の振動数を上げるメカニズムを見てきました。ここで、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」に戻りましょう。

「烏は歌う」の定義を再び引用します。

・チェストボイス

声帯の全体が、比較的厚さを保ったまま開閉運動を起こし、振動しているときの声。
(中略)
・ミドルボイス

チェストボイスより、声帯が薄くなり、かつ開閉運動を起こして振動する部分が減った(半分程度になると言われている)、チェストボイスより高音が出せる状態で出す声。
(中略)
・ヘッドボイス

ミドルボイスより、さらに声帯が薄く引き伸ばされ、さらに開閉運動を起こして振動する部分が減った(1/3か1/4程度になると言われている)、ミドルボイスよりさらに高音が出せる状態で出す声。

「声帯が薄く」というのは、3番の「声帯の振動部分の厚さを変化させる」ことですね。また、声帯の振動部分の厚さを変えれば張力も変わりますから、1番「声帯の張力を変化させる」ことも意味します。

また、「振動する部分が減った」というのは、2番の「声帯の振動部分の長さを変化させる」ことを意味します。

ここまでの議論をまとめて、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」を厳密に定義すると、以下のようになります(注4)。

チェストボイス
声帯が厚く、さほど伸展しておらず、声帯の全体が、声唇・声帯靭帯ともに振動している状態。いわゆる「地声」に近い状態。
ミドルボイス
声帯が伸展して薄くなり、声帯の一部が振動しておらず、残りの部分が声唇・声帯靭帯ともに振動している状態。
ヘッドボイス
声帯がより伸展してさらに薄くなり、声帯の多くが振動しておらず、残りの部分が声唇・声帯靭帯ともに振動している状態。

こう説明されても、音源がないと分かりづらいかもしれませんが、今回は音源を挙げて説明する余裕がありませんので、別の機会に説明致します。

「ミドルボイス」「ヘッドボイス」は「地声」か「裏声」か

ここで、前々回から話してきた「地声」とも「裏声」とも判断できないものの話に戻りましょう。

動画を再度載せておきます。デーモン小暮「地上の星」です。

3:54あたりの「アアア~」のシャウトが、「裏声」にしては息漏れがなく、「地声」にしては高く鋭すぎるので、「地声」とも「裏声」とも判断できないというのが今までの話でした。

今回の記事を読まれた方は、この声の正体がもうお分かりかと思います。これは「ヘッドボイス」です。「ミドルボイス」の可能性もありますが、この音域の高さと声色の鋭さと、デーモン小暮はヘッドボイスになると声が鋭くなるという傾向を踏まえると、「ヘッドボイス」と考えてよろしいかと思います。

この声が息漏れしていないのは、声唇と声帯靭帯の両方が振動しているからです(声帯靭帯しか振動しないなら「裏声」になります)。ただ、「地声」っぽくも聞こえないのは、通常の「地声」(「チェストボイス」)と違って、声帯が薄く延ばされ、張力が高まり、振動部分が減り……といった過程を経て、「地声」とは異なる声色になっているからです。

「ミドルボイス」「ヘッドボイス」は「地声」か「裏声」か、という議論が絶えないのですが、それは、こうした事情があるからです。声唇と声帯靭帯の両方が振動しているという意味では「地声」なのですが、声帯の伸展などがあるため、全くの「地声」ともいいきれないのです。

声唇と声帯靭帯の両方が振動するのが「地声」、という解剖学的な定義に従うならば、「ミドルボイス」「ヘッドボイス」は「地声」と呼ぶのが正しいでしょう(注4)。私も、この二つは「地声」として扱うのがふさわしいと考えています。

「チェストボイス」「ヘッドボイス」は胸と頭に響くのか

議論が煩瑣になるのを恐れ、今まで説明を後回しにしてきたのですが、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の語源をご存じでしょうか。

「チェストボイス(胸声)」は、発声中に声が胸に響くように感じられることから、「ヘッドボイス(頭声)」は頭に響くように感じられることから命名されたそうです。「ミドルボイス」は、「チェスト」と「ヘッド」の中間(ミドル)という意味です。

この命名は感覚的なものであり、当てはまらない人も多いので、あてにしすぎるのはどうかと思いますが、意外と妥当な気もします。

「チェストボイス」が胸に響くように感じられるのは、声帯の全体が振動しているからです。特に、「チェストボイス」は声帯に張力や伸展がかかりにくいので、身体全体に広がるように感じられるので、それを「胸に響かせる」と呼んでいるのでしょう。

「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」は、頭に響かせるとか、鼻に響かせるとかいわれます。声楽だと、「うなじで歌う」「うなじに当てる」という表現があるそうです。

「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」が頭に響くのは、声帯の前方が削減されて振動しなくなり、振動部分が、声帯中央や後方になるからだと思われます。声帯中央の振動は、頭を突き抜けるように感じられるので、「頭に響かせる」といわれるようになったのでしょう。

うなじに響かせるというのは、声帯の削減がさらに進行し、振動部分が声帯の後方になった場合でしょう。このとき、声帯後方の振動はうなじで強く感じられるので、「うなじで歌う」と呼ばれるようになったのではないでしょうか。

もちろん、響かせる箇所には個人差があり、完全には信用できないのも事実です。詳しく知りたい方は、「烏は歌う」の「響き」の「位置」とチェストボイス・ヘッドボイス。を読んでください。

「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」三分法の長所・短所

ここまで、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」三分法について説明してきました。最後に、長所と短所を説明しておきましょう。

長所は、「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」を科学的に説明できることでしょう。ポップスのハイトーンやシャウトに限らず、オペラや歌曲のハイトーンなどでも、「ミドルボイス」や「ヘッドボイス」は使われます。そのメカニズムを解明できるというのは、非常に大きなことです。

あと、正しい知識を得て、喉を痛める人を減らすという効果もあると思います。昔は「ミドルボイス」を出そうとして、「チェストボイス」を無理やり張り上げて高い声を出そうとして、喉を潰す人もいたようですが、そんなことはできない、「ミドルボイス」を出すには「ミドルボイス」を出すしかないと分かれば、無理なトレーニングをすることもなくなるでしょう。

ただ、短所もあります。それは、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の三つでは「裏声(ファルセット)」を説明できないことです。

声唇と声帯靭帯が両方振動することから、「ミドルボイス」と「ヘッドボイス」は「地声」に属すると考えられます。すると、「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」が三つとも「地声」になってしまいますから、「裏声」をどこに位置づけるのかが分からなくなります。

「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の三分法から「裏声」が除外されているのは、「裏声」を忌避し、「地声」を重視するオペラや声楽の伝統から来るものではないかと思われます。しかし、ポップスでは今や当たり前のように「裏声」は使われますし、オペラや声楽でも、カウンターテナーや女声は「裏声」を用います。「地声」だけを声として扱い、「裏声」を除外するのは適切ではありません。

前回と今回とで、「地声」「裏声」と「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」について説明しました。次回は、これらをひっくるめて、「声区」というものについて考えます。

補足: 「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ファルセット」の歴史

「チェストボイス」「ヘッドボイス」という言葉ができたのは最近のことだと思われますが、それと似た概念は、昔からあったようです。

英語版Wikipediaの「Chest voice」によると、ガルランディアのヨハネスJohannes de Garlandiaと、モラヴィアのジェロームJerome of Moravia(ラテン語名はヒエロニムスHieronymus)という13世紀の音楽理論家が、 「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ファルセット」に近い概念を唱えており、これが最古の記録だそうです。

もちろん、記録が残っていないだけで、もっと古くから 「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ファルセット」があった可能性もありますが、13世紀にまで遡るというのは驚くべき歴史の長さです。

ちなみに、ヒエロニムスとヨハネスのどの本に書かれているのかは分かりません。ヒエロニムスは『音楽論』Tractus de Musicaを、ヨハネスは『計量音楽について』 De musica mensurabiliという本を書いているようなので、どちらかに書いてあるのでしょう。

この二人の唱えた 「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ファルセット」が、ベルカント唱法に取り入れられ、「胸声」「頭声」として確立され、それがポップスに影響を及ぼした、ということのようです。

補足2: 声帯の振動に関する物理学的考察

本文中で、声帯の振動数を変化させる方法は、以下の三つだと書きました。

  1. 声帯の張力を変化させる
  2. 声帯の振動部分の長さを変化させる
  3. 声帯の振動部分の厚さを変化させる

しかし、なぜその三つだといえるのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれないので、弦の固有振動を参考に説明します。

弦の固有振動

これは、弦が振動するときの振動数を求める数式です。左辺のvが弦の振動数です。左辺の分母にあるlが弦の長さ、ρ(ロー)が線密度、分子にあるTが弦にかかる張力です。

仮に、左辺の振動数vを上げようとすれば、

  1. 張力Tを大きくする
  2. 長さlを小さくする
  3. 線密度ρを小さくする

この三つのいずれかです。1番が「声帯の張力を変化させる」に、2番が「声帯の振動部分の長さを変化させる」に対応することはお分かりでしょう。

3番の「線密度」ですが、これは、単位あたりの質量を意味します。簡単にいえば、弦の質量を減らればよいのです。

声帯の振動部分が薄くなるということは、振動する質量が減りますから、弦の線密度を下げることに繋がります。だから、3番が「声帯の振動部分の厚さを変化させる」に対応するのですね。

補足3: 「ミックスボイス」について

今まで触れてこなかったのですが、ボイストレーニングには、「ミックスボイス」という用語も存在します。

この用語は「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」同様、人によって意味が大きく異なる用語であり、混乱を招く恐れがあるので、今まで使うことはありませんでした。そして、今後も極力使わないと思います。ただ、この言葉の意味については大まかに触れておきます。

「ミックスボイス」は、以下の二つの意味で使われることがあります。

  1. 「チェストボイス」と「ヘッドボイス」の中間にある声
  2. 「チェストボイス」と「ヘッドボイス」を混ぜあわせた声

1番は、「ミドルボイス」と同じ意味ですね。この意味で使う場合、「ミドルボイス」という用語のほうが意味に合致しているので、現在は「ミドルボイス」を使う人のほうが多いでしょう。

2番ですが、「チェストボイス」と「ヘッドボイス」を融合させるという意味です。次回で詳しく説明する予定ですが、「チェストボイス」と「ヘッドボイス」の間に存在する「換声点」を埋める声、という意味で使われます。

補足4: 「チェストボイス寄りのミドルボイス」「ヘッドボイス寄りのミドルボイス」について

「ミドルボイス」について考えるとき、声色が「チェストボイス」に近いか「ヘッドボイス」に近いかで判断されることがあります。「このミドルボイスはチェストボイスに近い声色」とか「このミドルボイスはヘッドボイス寄り」といった具合です。

「チェストボイス寄り」「ヘッドボイス寄り」というのは、第三回で説明した「地声成分」「裏声成分」と似た言葉です。「地声成分」が多い声は 「チェストボイス寄り」、「裏声成分」が多い声は「ヘッドボイス寄り」といわれます。ただし、「チェストボイス寄り」だからといって「地声」とは限りませんし、「ヘッドボイス寄り」だからといって「裏声」とは限りません。

第十四回で詳しく説明しますが、声が「チェストボイス寄り」「ヘッドボイス寄り」かどうかは、基本波成分と倍音成分の多寡によって決まります。倍音成分の多い声は「チェストボイス寄り」になりますし、基本波成分の多い声は「ヘッドボイス寄り」になります。

「チェストボイス寄り」「ヘッドボイス寄り」がどういう声かについては、第七回に色々と音源を載せておきましたので、そちらをご覧ください。

注釈

  1. 図には書かれていませんが、甲状舌骨筋という筋肉があり、輪状甲状筋が働いて声帯が伸びるとき、甲状舌骨筋が収縮して、喉仏が上に上がろうとします。多少上がるのはやむをえませんが、上がりすぎると、「ハイラリンクス(高い喉頭)」の状態になります。詳しくはハイラリンクスの弊害とは?参照。 本文に戻る
  2. 分かりやすくするためにこう書きましたが、個人差があることはもちろんです。「ミドルボイス」の時点で声帯のほとんどが振動しない人もいるかもしれませんし、「ヘッドボイス」でも声帯の多くが振動している人もいるでしょう。 本文に戻る
  3. これを読んで、「ミドルボイスとヘッドボイスって、振動する部分としない部分の長さが違うだけで、ほとんど同じなのでは」と思われた方がいるかもしれませんが、実はその通りです。ただ、だから「ミドルボイス」と「ヘッドボイス」が同じともいいきれません。これは次回に書きます。 本文に戻る
  4. インターネット上にあがっている自称「ミドルボイス」「ヘッドボイス」の音源は、そのほとんどが、声帯靭帯だけが振動している「裏声」です。一部「ミドルボイス」「ヘッドボイス」のように聞こえるものがありますが、声量を上げて弱々しさや息漏れを打ち消しているか、共鳴を高めて息漏れをごまかしているだけです。詳しくは第十二回第十三回参照。 本文に戻る
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「チェストボイス」「ミドルボイス」「ヘッドボイス」とは何か──ボイストレーニング論その四」への17件のフィードバック

  1. 人間の発声は声帯が振動することによっておこるのではなく、声帯が閉じたり開いたりすることに依る、空気圧の疎密派ですよ。弦振動によるモデルを用いてますが・・・・
    あなたも佐藤氏のことあんま言えないっぽいですね

    • > k様
      コメントありがとうございます。

      人間の発声は声帯が振動することによっておこるのではなく、声帯が閉じたり開いたりすることに依る、空気圧の疎密派ですよ

      「ではなく」の前後の文章が繋がっていません。
      疎密波は体内や空気中での音の伝わり方の話であって、音が発生する原理を説明する声帯振動とは別の話です。
      声帯が振動して声が発生することとと、声が疎密波によって伝わることは矛盾する事項でも何でもありません。

      あなたも佐藤氏のことあんま言えないっぽいですね

      k様のこの発言は、
      1. 流星群の知識が誤っている
      2. 流星群は佐藤優の知識の誤りを指摘していた
      3. だから流星群は佐藤優のことをいえないはずだ
      という思考回路から出てきたものでしょうが、この2番自体が、k様が私の佐藤優批判を理解できていない何よりの証拠です。
      私は佐藤優の知識の誤りを批判しているのではなく(若干それも批判していますが)、彼のアナロジー思考の誤りを批判していることを理解できていれば、2番のような発想が出てくるはずがありませんからね。

  2.  縦波というのは波が進行する方向と波の振動方向が平行な物のことを指します。このエネルギー伝搬は進行方向と平行に作用反作用で行われますので、基本的に物質間ならなんでも起こります。疎密波は縦波の一種です。スピーカーなどはこの原理に基づいて瞬間的に動き空気圧の変化を生じさせ、縦波を発生しています。
     横波と言うのは波が進行する方向と波の振動方向が垂直な物を指します。こちらは弾性体(ゴムや固体の物質が当てはまります。)の性質によってエネルギー伝搬が行われます。物質間がつながっていないと伝搬は行われません。空気圧に基づく疎密波はこちらには当てはまりません。空気は固体のようにつながっていないからです。横波なんかは弦楽器の弦が当てはまりますよね。
     で声の発生についてですが、meteorite1932さんの解釈だと「声帯=弦、体の共鳴腔=弦楽器のボディ、息=弓」と(もしくはそれに近い物)解釈しているとこちらは解釈しています。まずバイオリンの弦の振動は自励振動と呼ばれるもので単振動ではありません。ですので、一番簡単な波動方程式を満たさなくなります。(厳密に証明してはいませんがおそらくバイオリンは強制振動に近く、強制振動がある系の波動方程式を満たすのではと思います。)まぁヴァイオリンはヴァイオリン、声は声と思うかもしれませんが、声帯を単振動のモデルとして考えるとですね、「息を送ってない状態で声帯が振動している」と解釈しないといけないわけですよ。最低でも僕の声帯は息を送るのを止めたらすぐ声は消えます。モデルを単純にして考えるのは物理では日常茶飯事ですが思考実験で明らかに問題がある(もしくはそう想定される)レベルの近似や単純化は行いません。(行うにしてもそこには厳密な考察が必要と思われます。)
    そして何よりも声の発生は声帯が弦のように振動するという理由に否定的なのが、「息を止めたらすぐに声は消える」点です。普通は減衰振動(もしくはそれに近いモデル)で徐々に声が消えると思いますよ。meteorite1932さんの解釈では。もちろん反例として、人間には認知できないスピードで減衰したとか考えられますが、さらに「固有振動に対して声帯が共鳴しない点」について説明が全くないですよね。口から空気を通じて音が声帯に届いたら、息を流してなくても声帯が振動すると思いますよ。もちろんこれも、声帯が振動したか感知できないレベルで振動してると言い張れるかもしれませんね。meteorite1932さんのモデルが正しいとおっしゃるのなら上記2点についての説明が欲しい物です。
    縦波(空気の疎密波)のモデルなら単純で、声帯が閉じる→息がせき止められる→空気の密度が高まる→声帯が開く→高密度の空気が通って密度が減る→最初に戻る。の繰り返しです。最低でも上記で挙げた「息を止めたらすぐに声は消える」「固有振動に対して声帯が共鳴しない点」はクリアしてます

    この辺でいいですか。

    • > k様
      コメントありがとうございます。

      どうもk様が何をお聞きになりたいのか分からないので、論点を整理したいと考えています。

      で声の発生についてですが

      この文章の前は「縦波」「横波」の話をされていたのに(前回のコメントでも疎密波の話をされていましたね)、文章の次から突然「自励振動」「単振動」に話が飛んでいるのですが、k様はどちらの話をお聞きになりたいのでしょうか?

      あと、「声帯を単振動のモデルとして考えるとですね」と書かれており、私がそのように考えていると解釈されているのだと思いますが、この記事のどの箇所を指していらっしゃるのでしょうか?
      「補足2: 声帯の振動に関する物理学的考察」の「弦の固有振動」のことを指していらっしゃるのでしょうか。

      声の発生は声帯が弦のように振動するという理由に否定的なのが、「息を止めたらすぐに声は消える」点です

      文章がねじれていて理解しかねるのですが、「流星群は声帯が弦のように振動すると考えているが、そうなると減衰振動で声が振動することになる。息を止めたらすぐに声は消えるので、それはありえない」という論旨でよろしいでしょうか?

      口から空気を通じて音が声帯に届いたら、息を流してなくても声帯が振動すると思いますよ

      これも意味がよく分かりませんが、弦振動のモデルを採用するなら、固有振動に対して共鳴する原理が働き、声帯に息が通らなくても声帯が共鳴して声が出るはずだということですか?

      あと、佐藤優の件について言及されていませんが、私の反論についてどう思われているのか伺ってみたいと考えております。

  3. 氏が持っている前提知識をお伺いしていいですか。
    1.高校物理は履修したか否か
    2.高校物理を履修していない場合、何らかの本などで物理を独学したか。
    おそらく氏の前提知識にこちらが合わせないと、私の意図したことが伝わらないと思うので。まず話はそこからですかね

    • > k様
      コメントありがとうございます。

      答えとしては「高校物理は履修した」ということになります。
      で、それが私の質問に対する回答になっているのでしょうか?
      私は物理学に関する質問をしたのではなく、k様の文章の分かりづらさを指摘し、その真意を問うたのですよ。
      それに対して答えることもせず、私の物理学の知識に話をすり替えるとは、まともに議論をする気があるとは思われません。

      一つお尋ねしたいのですが、k様は私と議論をする気がおありなのでしょうか。このことを確認しておきたいと思います。
      する気がないのでしたら、私がこれ以上議論を続ける必要はないと考えております。

      もう一つ指摘すれば、知識があろうがあるまいが、読み手に推測を強いる文章というのは、それ自体が議論の文章として不適格なのです。
      「縦波」「横波」の話からいきなり「自励振動」「単振動」の話に飛ぶのは、知識がある人なら飛ぶ理由が推測できるかもしれませんが(恐らく、あの書き方では知識がある人でも理解できないと思いますが……)、読み手に推測させている時点で文章として分かりづらいのですし、(小説の文章ならともかく)議論の文章としては破綻しています。
      議論の文章は、読み手が書き手の意図を正確に理解できるものでなくてはならないからです。解釈の余地がいくつもあっては困るのです。

  4. [疎密波は体内や空気中での音の伝わり方の話であって、音が発生する原理を説明する声帯振動とは別の話]、「「ではなく」の前後の文章が繋がっていません。」
    まず、前者は「氏は横波(声帯の振動)が声の元である(以下命題P1とします)」というのを公理に近いニュアンスで前提としておりまよね。それが故に後者の発想をしているのでしょうね。命題P1という前提の下で「縦波(空気圧の疎密波)が声の元である(以下命題P2とします)」というのは公理に矛盾していますし。
    まずですね、私が命題P1と矛盾する、命題P2を主張したのですから、どちらが正しいか考える際に命題P1、命題P2共に前提と置くのはおかしいでしょ。結局論旨は
    氏「Pである」
    私「notPじゃね」
    氏「え、まずPでしょ、P⋀notPは矛盾するでしょ、だからnotPはおかしい」
    こうなってます。

    私の主張の要旨ですが、
    声の伝達に関しては縦波(空気の疎密波)です。音(声じゃないですよ)の発生に関しては縦波、横波有り得ます。私の主張の最初9行「縦波という~りますよね。」はそれを主張しています。前主張において私は「氏は縦波は音の発生としてはありえず、音の伝達のみあり得る」と誤解していましたのでそう主張していたわけです。
    10行目からは氏の主張(このページにある命題P1)に対して否定的な意見を述べています。
    10行目から21行目からは、氏の「弦の固有振動を参考に説明します。」対して、そのモデル(単振動モデル)で教えるのは、実在からモデルを単純化しすぎじゃないだろうかと主張しました。
    「声帯を単振動のモデルとして考えるとですね」は正しくは「声帯に横波の単振動が生じているとするモデル」になります。
    で22行目から私は命題P1に対して否定的な意見を述べていきます。とよく見たら前半の主張は10-21行目の主張と被ってますね。
    で話の要旨としたら、【「息を止めたらすぐに声は消える」「固有振動に対して声帯が共鳴しない点」の2点を命題P1のみでは説明ができない、命題P2ならそれがうまく説明できる。あなたの主張である命題P1が正しいのなら「息を止めたらすぐに声は消える」「固有振動に対して声帯が共鳴しない点」という現象の説明が足りません。説明してください。】となります。

    声帯について以外の話は、声帯の話が終わってからでいいですか。滅茶苦茶になりそうだし。

  5. > k様
    コメントありがとうございます。

    相変わらず私の質問に対して回答なさいませんが、議論を続行される気はあると解釈してよろしいのでしょうか。
    そのように解釈してコメントさせていただきます。

    今回のコメントを拝読して、k様のおっしゃりたいことがおおよそ理解できました。
    1. 「息を止めたらすぐに声は消える」理由
    2. 「固有振動に対して声帯が共鳴しない」理由
    この二点についてお答えすればよろしいわけですね。

    まず、私とて声が「縦波(空気圧の疎密波)」を元にしていることは否定しておりません。
    ただ、声を「横波(固有振動)」を捉えたとしても、上記の2点が問題になることはなく、よってモデルとしても差し支えないと考えております。
    以下、それを説明致します。

    1. 「息を止めたらすぐに声は消える」理由
    結論から申しますと、「息を止めたらすぐに声は消え」はしません。
    「息を止めた」からといって突然息の量が100から0になるわけではないのと同様、声も突然「消える」わけではありません。
    確かに、擦弦楽器や管楽器は音の減衰がないといわれますが、それは音の鳴動中の話であって、音を切ったり声を止めるときには、きちんと減衰時間がありますよ。
    ただ、音の減衰が目立つ撥弦楽器や打弦楽器と違い、減衰時間が短いので分かりにくいだけです。

    下手な歌手や楽器奏者が演奏をしていると、歌や音の終わりが歯切れ悪いと感じるときがあるのですが、それは音の切り方や息の止め方が下手で、減衰時間が長く、間延びして感じられるからと思われます。
    上手な歌手や奏者は、歯切れよくスパッと切ることによって減衰時間を短くするテクニックに長けているようです。
    http://rdm.ne.jp/saxbrass/column/tpnakano/2383

    2. 「固有振動に対して声帯が共鳴しない」理由
    実はこれについては未だに正確に理解できている自信がないのですが、「固有振動に対して声帯が共鳴する」というのは、空気中を伝わる音が声帯まで届いて声帯を振動させるという現象のことだと捉えてよろしいのでしょうか?
    例えば、近くで爆音が鳴ったとき、その音が声帯まで届いて「声帯が共鳴」するはずだが、現実には「共鳴しない」、それはなぜか、というご質問ですよね。

    私の理解が正しいとして、これはかなり非現実的かつ絶無な現象だと思われます。
    まず、音圧は距離の二乗に反比例しますから、少し距離があるだけで音圧は一気に落ちます。口の中に音源を入れでもしない限り、口の中に十分な音圧を持った音が届くことはないでしょう。
    また、口腔から声帯までは一直線ではありませんから、音の反射や回折なども発生します。この過程で、さらに音圧は落ちてゆきます。
    ですから、「固有振動に対して声帯が共鳴しない」のは、「共鳴」させうるほどの音圧が声帯まで届きえないからです。

    声帯を振動させうるほどの音圧を持った音が、空気中から声帯まで届くという現象は、人間の声を固有振動にモデル化するよりもはるかに「思考実験で明らかに問題がある」と思います。

  6. 1. 「息を止めたらすぐに声は消える」理由
    こちらの問いかけを言い返す必要がありますね
    「弦楽器のように音の減衰がゆっくりでない」理由です。
    さらに詳しく言えば、「声を発生し続け、喉の状態は保った状態で横隔膜を止めてブレスを止めても音の減衰がゆっくりでない」理由です。

    2..「固有振動に対して声帯が共鳴しない」理由

    非現実的ではありません。人間の体内では共鳴腔があります。
    尿路結石などで超音波による粉砕(ウィキペディア曰く体外衝撃波結石破砕術だそうです)のように元の音が小さくても共鳴腔がありますので、口元にスピーカーを置いて音を流せば、ある程度は届きます。それに共鳴というのは強制振動によるモデル(氏のおっしゃるようなモデル)なら共振によって声帯が振動するはずです。これもウィキペディアで調べてみた記述ですが(線形系ではその振動数が系の固有振動数に近いとき、もしくは一致するとき、大きな振動が発生する。この現象を共振または共鳴と呼ぶ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E5%88%B6%E6%8C%AF%E5%8B%95)

    • > k様
      コメントありがとうございます。

      「弦楽器のように音の減衰がゆっくりでない」理由です。

      一言でいえば、
      「人間の声は、肺から送られる空気が声帯と振動して起こす自励振動が元になっているから」
      https://kaken.nii.ac.jp/d/p/08455090.ja.html
      といえるでしょう。
      ヴァイオリンの弦振動が自励振動だとおっしゃっていましたが、人間の声もそれと同じ原理で発声されますから、「音の減衰がゆっくりでない」のは当然のことです。
      撥弦楽器や打弦楽器の減衰がゆっくりなのは、打弦による弦の変位から起こる減衰振動が元になっているからです。

      口元にスピーカーを置いて音を流せば、ある程度は届きます

      尿路結石の例を元に声帯共鳴を主張するには、いくつかの疑問に対する立証が足りないと思います。

      第一に、尿路結石破砕に用いる超音波の音圧がどのぐらいなのかということ。
      また、声帯を振動させうるだけの音圧と比較してどれぐらいなのかということ。

      第二に、尿路結石の固有振動数がどの程度なのかということ。
      尿路結石と声帯の固有振動数を比較することなくして、尿路結石でも可能だから声帯でも可能だからと主張するのは難しいでしょう。

      第三に、「共鳴腔」があるからといって超音波の事例が声にも適用できるのかということ。
      超音波とは、一般に20kHz以上の超高音を指しますが、これほどの高音が人間の声帯や楽器から発せられることは絶無でしょう。
      A4(hiA)の音程ですら440Hzですから、極端に高音の出せる人でもA6(hihihiA)(1320Hz)ぐらいしか出せません。
      これほどに振動数が大きく違うものを、「共鳴腔」の存在だけで繋げてよいものか疑問です。

      線形系ではその振動数が系の固有振動数に近いとき、もしくは一致するとき、大きな振動が発生する。

      その理論は、空気中の音が声帯を振動させうるだけの音圧を維持したまま無事に声帯まで届いたことを前提としていますから、まずそれが可能であることを立証しないと何の証明にもなりません。

      あと、そろそろ議論の目的のようなものを確認しておきたいと考えています。k様はこの議論において何を目的とされているのでしょうか。
      物理学に関する私の議論を論駁することでしょうか。それともボイストレーニングや佐藤優に関する議論でしょうか。
      目的もなく延々と議論をし続けるのもムダですので、目的を確認しておきましょう。

  7. 「あと、そろそろ議論の目的のようなものを確認しておきたいと考えています。k様はこの議論において何を目的とされているのでしょうか。
    物理学に関する私の議論を論駁することでしょうか。それともボイストレーニングや佐藤優に関する議論でしょうか。」

    私は、声帯が弦のような振動をすることが声の素であることに対して、否定しています。その際、私は哲学的な領域に入らないように注意しています。ですので、氏にとって物理学に関する私の議論を論駁しているように見えるのでしょう。
    極論言えば、私か、氏どちらが「うるさい!!、俺がこうだと言ったからこうなんだ!!」などという根拠を持ち出せばそれを崩すのは科学では不可能かつ哲学的にも困難です。ですので、「あなたはこういうことを仮定して現実に即したモデルを構築した、しかしあなたのモデルでああいうことがあり得る。しかしああいうことは現実には即していないから修正する必要がある、できないならモデルの根拠となった仮定を排して別の仮定をした方がよいと思われる」という議論をしています。(自然科学、人文科学などの)科学の薫陶を受けた人間なら当然の如くできてもいいことですけどね。余談ですが私はそういう当たり前のことも過去できなかった人間だったので愚直に勉強して身に着けました。

    で話を続けますね。
    1.「息を止めたらすぐに声は消える」理由
    「声帯に横波の振動が生じて声が生じるとするモデル」の下、「人間の声は、肺から送られる空気が声帯と振動して起こす自励振動が元になっている」なら声はすぐに減衰しないと私は前々回から言ってますよね・・・、氏も同じ解答を2回してますよね・・・前々回コメントの冒頭で【まず、前者は「氏は~tPはおかしい」】に似てますねこの構造・・・

    2..「固有振動に対して声帯が共鳴しない」理由
    こちらで尿路結石云々を持ち出したのはそれなりの意図があったのですが、こちらの説明が適当すぎましたね。
    尿路結石の超音波の話ですが、あれで示したかったことはですね、
    「結石を破壊する程度の衝撃があるのに人体を傷つけないのは、なぜか?それは超音波をそれぞれ別方向から与えて、結石のある場所で重ね合わせることで局所的に強い衝撃波を(そしてそれ以外の場所では弱い衝撃波を)発生させてるからだ。」と言うことを示し、「もともとが弱い振動でもうまく重ね合わせれば振動を強めることができる。」ということを示したかったわけです。正直今見てみれば今回の話題にあまり意味はないですねこれ。なので前半の部分はすっぱり忘れてもらっていいですか。そして後半に挙げた強制振動モデルでの共振現象をご自分で調べてもらっていいですか。後半部分では「与える振動が弱くても固有振動数に近い周波数なら強い振動が起こる」ということを示してます。例えばでいうなら、ブランコを押す人が①ブランコの位置、回転方向によらずランダムに押す例、②ブランコが最高点になって速度が0になってるときに弱くてもいいから押す例、の2例について考えてもらったらわかりやすいかな(わかりにくいならスルーしてもらってもかまいません。)

    • > k様
      コメントありがとうございます。

      私は、声帯が弦のような振動をすることが声の素であることに対して、否定しています。

      k様の議論の目的がこれでしたら、これ以上議論を続ける意味は(少なくとも私にとっては)あまりありません。
      この議題に対して私がそれほど関心がありませんし、この議題を掘り下げたところで(純粋に物理学的にはおもしろいかもしれませんが)ボイストレーニングの観点からいってそれほど意義があるとも思われないからです。率直にいって、そろそろ切り上げたい議論です。
      ちなみに、k様はなぜこの議題にこだわっていらっしゃるのですか? 物理学的な関心からですか?

      声はすぐに減衰しないと私は前々回から言ってますよね

      一体どの箇所ですか?

      そもそも声の減衰がなぜ議題になっていたかというと、

      k様: 命題P1が正しいとすれば、なぜ「息を止めたらすぐに声は消える」のか? また、なぜ「固有振動に対して声帯が共鳴しない」のか?
      流星群: 「息を止めたらすぐに声は消える」などという事実は存在しないので、命題P1に対する反証にはなりえない。
      また、「固有振動に対して声帯が共鳴しない」のは声帯を振動させうるだけの音が声帯まで届かないだけのことであり、それをもって命題P1が否定されることもありえない。
      よって、命題P1を否定する二つの論拠はいずれも成立しえない。

      という流れがあったからですよね。
      「固有振動に対して声帯が共鳴しない」については尿路結石以上の論拠は提出されませんでしたし、「声はすぐに消えるのでなく最後に減衰する」についても明快な反論がなかったと記憶していますが。

      「もともとが弱い振動でもうまく重ね合わせれば振動を強めることができる。」ということを示したかったわけです

      尿路結石の話は、「音が空気中を伝わって声帯に届き、声帯を振動させることなど非現実的だ」という私の持論に対して、「いや、現実的だ」と反論するために持ち出されたものですよね。
      が、「もともとが弱い振動でもうまく重ね合わせれば振動を強めることができる」ことを立証したところで、「現実的」であることの証明にはなりません。
      おっしゃる通り、「今回の話題にあまり意味はない」反論ですので、今後はスルーして議論を進めます。

  8. 横から失礼します。
    大変興味深いサイトです。
    そしてお2人の様に物理学の知識もないのですが、質問と言うか疑問です。

    まず声帯の振動が弦振動モデルと同一視していいのか、という前提にもよるのですが、、

    バイオリンでは押指で弦長を変えるのですが初心者はこの押指の拙さから弦の効率的な振動を得られません。
    これはある程度熟練しても開放弦と押指で得た音色がどうしても違うという現象を起こします。
    対してギターはフレットを使うことにより開放弦と押指での音色差はほぼない状態です。
    この点を踏まえますと
    声帯振動削減が起きた時にバイオリン的発想ですと余程弦の端と端がしっかり固定されていないと振動が悪いので、声帯に置いては閉鎖筋による閉鎖などではしっかりした端を作れないのでは?と思います。

    この点いかがお考えですか?

  9. 半年以上も前の論議に発言する行為は、話の流れ上k様がこちらのブログを閲覧することはもうなさそうですし、無意味なことだとは思いますが、あまりにブログ作成者様に失礼だと感じたので発言させていただきます。

    まず最初に

    >人間の発声は声帯が振動することによっておこるのではなく、声帯が閉じたり開いたりすることに依る、空気圧の疎密派ですよ。
    >縦波というのは波が進行する方向と波の振動方向が平行な物のことを指します。このエネルギー伝搬は進行方向と平行に作用反作用で行われますので、基本的に物質間ならなんでも起こります。疎密波は縦波の一種です。スピーカーなどはこの原理に基づいて瞬間的に動き空気圧の変化を生じさせ、縦波を発生しています。
    >横波と言うのは波が進行する方向と波の振動方向が垂直な物を指します。こちらは弾性体(ゴムや固体の物質が当てはまります。)の性質によってエネルギー伝搬が行われます。物質間がつながっていないと伝搬は行われません。空気圧に基づく疎密波はこちらには当てはまりません。空気は固体のようにつながっていないからです。横波なんかは弦楽器の弦が当てはまりますよね。

    という発言です。
    これはつまり声の発生を横波の弦楽器と同じにしては音は鳴りませんよ、という発言になります。
    ・・・弦楽器は音は鳴らないのでしょうか?その後のバイオリンの話とも矛盾しますよね?
    そもそもk様の理解が及んでいないのは波の進行方向と振動方向についてです。弦の横波の進行方向を左右、振動方向を上下と表現します。物理学的に話を進めたいのであれば力の方向を考えるべきで、弦を、微小な物質がこれまた微小な棒で繋がれた集合体という風に例えると理解しやすいと思います。例えば弦のある一点が真上に移動した際、その両隣が棒から力を受け真上に引っ張られます。これを繰り返すことで波は左右に進行するのです。また、この一点は振動方向が上下で進行方向も上下であることがわかります。つまり、空気に対して疎密を与えることができるので、k様の考える縦波と同様の方法で音が鳴るわけです。ですから、横波全体の進行方向に力が加わっていないので横波の進行方向が~などと論じることは稚拙に感じます。
    声帯についても、肺から出る空気が声帯に垂直にぶつかることを考えると声帯が弦と同様横波で振動し、疎密波を生み出していると考えられます。k様が考える疎密波の出し方には、ウィスパーボイスなどの場合に音程が取れるだけの空気圧が保たれるかの説明がつきません。

    続いて

    >息を止めたらすぐに声は消える

    についてです。これについて発言できることが3つあります。
    1つ目に、息を止めた際に声帯の形状を変えた場合は、ギターの演奏中に弦が切れてしまった場合に音がすぐ減衰してしまうのと同様に声は消えるでしょう。
    2つ目に、息を止める≠声を消す、であるかです。k様は話すときに息を吐くことを意識しながら話すでしょうか?おそらく無意識に行っているはずです。これと同様に歌うのを止める際に息を止めると同時に声帯が止まるように体が自然と動いてしまうことが考えられます。もし仮に息を止めて声が出ていた場合、まだ息が止まっていないのではと錯覚するでしょう。ですから、k様が息を止めて声が消えるからという理由は信憑性の高いものではありません。
    k様が完全に息だけを止めることのできる技量を持っていると考える場合に3つ目に挙げることとして、ヴァイオリンを考えることにします。ヴァイオリンは弦と弓との摩擦により振動させ音を出します。ヴァイオリンは共鳴させ音を大きくする構造ではありますが、弓が触れたままではその摩擦により、弓の動きを止めればすぐに音が減衰してしまいます。声帯についても声を出す際に声帯が閉じることから声帯同士が触れ合うことで減衰することは大いに考えられます。つまり、ギターなどのような弦楽器の弦に何のストレスも与えない状態の緩やかな音の減衰を想定されることは無理があると思います。

    以上のことからk様の発言はブログ製作者様の考えを否定できるものはなく、それどころかk様のモデルは信憑性が高くないことが分かりました。

    ちなみにですが、私の発言はブログ作成者様の考えを肯定するものでも解説するものでもありません。k様の発言に対する反例をあげただけのものです。ですが、ブログを閲覧する限り、非常に情報が整理されていてよく調べられていることはすぐに感じられます。それに対する反論としてはあまりにずさんでしたので発言させていただきました。

    それと、自分の発言が理解されないからといって相手の学歴を問うのはどうかと思います。相手に理解させるように話すことができない程の知識しか持ち合わせていないと誤解されても仕方ないですよ。

    最後にですが、15回全て読ませて頂きました。ボイトレはこれからなのでうまくいくかは楽しみではありますが、自分の認識と合い納得することや、新たに得ることが多く、さらに意欲が湧きました。ありがとうございました。

    長文失礼しました。

  10. K氏、3行にまとめてください。長いです。まとめるときはスティーブン・タイラーの声帯の動きについての意見を加えて、理論の証拠になる音源も持ってきてください。

  11. K氏の内容をまとめると 「筆者はバカで理解していないことは推測で埋めてそれを真理のごとく述べている」となります。

  12. やたらと長いページだから「1ページはもっと短くまとめるように!」って言おうとしたらコメント欄が荒れてたのかww
    そもそもWordPressはコメント欄非推奨だよね

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