「意識の高い人」と「低い人」は何が違うのか

「意識の高い人」「意識高い系」という言葉があります。定義は曖昧ですが、簡単にいうと「学生団体やボランティアなどの社会貢献、NGOやグローバルな仕事などの世界の問題解決に対して強い問題意識を抱き、日々それに向けて行動している人」という感じです。

もっと具体的にいうと、仕事に金銭獲得以上の意味を求めている人たちは、大体「意識の高い人」に分類されると思われます。仕事に「自己実現」とか「人間性の向上」とか「生きがい」とか「人生の意味」を求めている人たちです。企業の社長や経営者は、これに属する人が多いですね(元ワタミ会長の渡邉美樹・ユニクロ社長の柳井正、元ライブドア社長の堀江貴文など)。

ただ、「意識の高い人」の中には、意識だけが高く行動が伴っていない人もいる。学生団体の代表とかボランティア活動員と称して経歴を豪華に飾ってはいるが、実際に何をやっているのかはよく分からないという人たちです。こういう地に足のついていない人たちを皮肉って「意識高い系(笑)」と呼ぶこともあります。

私自身は全く「意識の高い人」ではありませんし、なりたいとも思わないのですが、「意識の高い人」の存在自体は大事だと思っています。そういうことをしたがる「意識の高い人」がいるからこそ、私が社会貢献をしなくても世界が回っているわけですから。私の嫌がることをやってくれるという意味で、彼らは私にとっては大事な存在です。

「意識の高い人」はなぜ生まれるか

私は「意識の高い人」ではありませんが、「意識の高い人」がなぜ生まれるのか、なぜ自分は「意識の低い人」なのかに興味がありました。この違いはどうして生まれるのかを知りたかったのです。

多くの経営者やビジネスパーソンの人生やインタビューを調べた結果、「意識の高い人」が生まれる条件のようなものがあることが分かりました。それを述べてゆきます。

1. 何らかの幼時体験があること

「意識の高い人」にありがちなのは、幼児期に何らかの経験をしており、それが人生を変える原体験になっていることです。

この経験は色々あります。働く父母の姿を見て自分もそのようになりたいと思ったとか、海外に行って貧困を目の当たりにしてそれを変えたいと思ったとか、製品の美しさに目を奪われてそれを世界に伝えたいと思ったとか、小さい頃に虐められていつかビッグになってやると誓ったといったものです。「意識の高い人」には、幼児期に抱いたそういった思いを出発点としている人が多い。

私は以前渡邊美樹について書いたことがありますが(渡邊美樹はなぜ「英雄」なのか)、彼は「母親の死」「父親の会社清算」という大きな幼時体験を二つも経験しています。それを通じて彼は「おとなになったら社長になります」と決意し、「社長」になるために大学や会社選びをしています。彼の仕事一筋の生き方は、こうした原体験に支えられているわけです。

なぜ「幼時」限定かというと、小さい頃に経験したことは、大人になってからの経験に比べて影響力が極めて大きいからです。後者の影響力が皆無とはいいませんが、やはり小さい頃の経験の影響力は大きい。大人になるとある程度価値観が既に形成されていますから、よほどの大事件でない限り大きな変化は起こりにくいからです。

私が就職活動をしている頃に「意識の高い人」に会ったことがありますが、彼らの使命感や社会貢献の意識は凄まじい。普通の学生はせいぜい学生時代の経験に基づいてやりたい仕事を決めるのですが、彼らは学生時代どころか「幼時経験」に基づいて仕事を決めている。幼児期に経験したことを自分の生きる意味と決めているのですから、絶対に迷うことがない。これは、普通の学生では太刀打ちできないなと思ったものです(太刀打ちしなくてもよいのですが)。

もし皆様「意識の高い人」に出会ったとき、その人の原体験や幼時体験を探ってみるのがよいと思います。また、「意識の高い」起業家や経営者を見つけたときは、その人の小さい頃の経験を聞いてみましょう。大体何かしらの経験をしているものです。

2. 人生の年数に対する意識が強い

最近では人間の寿命や定年も伸びていますが、人間が元気に働ける年齢はせいぜい60~70歳でしょう。いくら元気でも、あまり長く働きすぎると後継者が育ちませんし、若い人たちが活躍できませんから、ある程度のところで引退せざるをえない。つまり、人間が何歳ぐらいまで働けるかには目安があるのです。

「意識の高い人」は、この目安を計算した上で、現在の自分の行動を逆算して考えている人が多い。「自分は何歳までしか働くことができない」「何歳までにはこれを成し遂げなくてはならない」と考えている人が多いのです。

例えば、仲暁子氏の以下の言葉をお読みください(Wantedly 仲暁子に学ぶ、「かっこよく生きる」ための仕事論。)。

個人的な意見なんですが、新しいものを作る人や今あるものを変えていける人って、“自分の人生が有限であることを、強烈に感じられる人”だと思うんですね。

私の場合、その感覚が結構強くリアリティとしてあって。感じていない人はそれはそれで幸せだと思うんですけど、一度強烈に有限だと捉えると、物事の判断基準が変わってきます。常にせっぱつまった状態になる。

仲暁子に限らず、こういう考え方をしている「意識の高い人」(特に起業家や経営者)は多いでしょう。というのも、この考え方は企業経営そのものだからです。

経営は現在だけを考えればよいものではなく、5年後・10年後の姿を想像し、それに向けて現在やるべきことを逆算するものですが、それを人間の人生にも当てはめている。自分がまともに働ける60~70歳の姿を想像し、それに向けて現在を逆算しているわけです。

こうした考え方は、将来やりたいことを明確に持っていないとできません。「5年後・10年後のことは想像できず、今は仕事を覚えるので精一杯です」というタイプの人はだめなのです。

どういうタイプの人なら「5年後・10年後のことは想像」できるかというと、前述の「幼時体験」を持っている人です。こういう人たちは、自分は人生でこれを成し遂げるのだという目的意識を強く持っていることが多いので、将来自分が何をやりたいのかを容易に想像できる。ですから逆算も難しくなく、それゆえに「常にせっぱつまった状態」になれるのです。

「意識の高い人」は「才能」

こうしてみると、「意識の高い人」というのは「努力」よりも「才能」の面が強いようにも思われる。「才能」では語弊があるかもしれませんが、「幼時体験」という自分では左右できないものに強く支えられているという意味では、「才能」と呼んでよいかと思います。

ビジネスや自己啓発の世界では、「意識の高い人」になるのはそんなに難しくないという嘘が罷り通っています。「自分が人生で成し遂げたいことを考えろ」だの「自分の人生今のままでいいのか自問自答すれば答えが出る」だのといったお説教がありますが、世の中の大多数の人間には、「成し遂げたいこと」や「答え」なんか存在しません。それがあるのは、「幼時体験」を持った一部の人間だけです。

私自身についていえば、「意識の高い人」としての才能は皆無だと思います。私は家族の死を全く経験していませんし、父親の働く姿を見たこともありませんし、父や母のようになりたいと思ったこともない。子供の頃はゲームや漫画をしていましたが、ゲームクリエイターや漫画家になりたいという野望を抱いたこともない。

また、「意識の高い人」のように、毎日を切羽詰まって生きてもいません。社会人二週間目を終えた所感でも書きましたが、基本的にいつ死んでも構わないと思っているので、「5年後・10年後」のことなどどうでもいいからです。それは、私が矢吹丈や赤木しげるや吉良吉影のような「自己本位」的な生き方を理想としているからです(詳しくは矢吹丈と赤木しげる参照)。

「意識」は高くても低くてもいい

「意識の高い人」からすれば、私のような生き方は到底受け入れられないでしょう。「自己中心的」「かっこ悪い生き方」に映るでしょう。しかし、わたしからすれば、彼らのほうがつまらない生き方をしているように見える。自分の人生を他人のために生きることほどバカバカしいことは私にはありません。

こうした価値観の対立は、どちらが正しいというものではありません。ビジネスの世界では「意識の高い人」のほうが正しいでしょうが、人生全体ではそうともいいきれない。私の考えでは、ビジネスとは人生の一部にすぎないからです(「意識の高い人」は、人生=仕事だとおっしゃるかもしれませんが)。

私自身は「自己本位」的な生き方(「意識の低い」生き方)を理想としていますが、それを「意識の高い人」に押しつけようとは思わない。彼らは彼らでがんばればいいと思いますし、私は私で「意識の低い」生き方をがんばりたい。「意識の高い人」と「意識の低い人」が、上手く共存してゆけばよいのです。

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「意識の高い人」と「低い人」は何が違うのか」への2件のフィードバック

  1. ”私が矢吹丈や赤木しげるや吉良吉影のような「自己本位」的な生き方を理想としているから”

    この言葉だけでも、流星群さんの人生に対する意識の高さを感じます。

    突然のコメント、失礼しました。

  2. 楽しく読ませていただきました。
    しっかりと自分自身を認識しているようで
    関心しました。

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