宮城道雄「瀬音」を聞く

追記: 「宮城道雄『○○』を聞く」記事の目次です。

1月3日に「春の海」を紹介しましたが、ついでに、宮城道雄の他の作品をご紹介しましょう。

曲は色々ありますが、今回は「瀬音」という曲をご紹介します。「春の海」と同じ二重奏曲ですが、箏と尺八ではなく、箏と十七絃という構成です(十七絃については後述)。曲の長さは5~6分と短いので、初めての方でも聞きやすいかと思います。

以下に音源を掲載します(いずれもYouTube)。音源を三つも掲載していますが、いずれも非常に優れた演奏で、甲乙つけがたいので、三つとも載せておきます。

一番上が作曲者の宮城道雄・宮城喜代子の演奏、真中が沢井忠夫・(恐らく)沢井一恵の演奏、一番下が砂崎知子・古賀美智子の演奏です。作曲者自身の演奏を最初にお聞きいただき、後で残り二つを聞くのがよろしいかと思います。

曲の構成について。「瀬音」も「春の海」と同様、西洋音楽に影響を受けた三部形式(ABA’)の曲です。

音源/三部形式 A B A’
宮城道雄 0:00~1:33 1:34~4:43 4:45~5:30
沢井忠夫 0:02~1:26 1:26~4:58 5:01~5:45
砂崎知子 0:00~1:21 1:22~4:15 4:16~4:55

十七絃について

楽器構成のところで、「瀬音」は箏と十七絃によって演奏されると書きました。多くの方は、箏は分かるとしても、十七絃とは何のことなのかご存じないでしょう。

詳しい説明はWikipediaに譲りますが、簡単にいえば、低音域を担当するの大型の箏です。箏がヴァイオリンやヴィオラのような高音を主とするのに対し、十七絃はチェロのような低音を主とします。

箏は江戸時代初期頃からある古い楽器ですが、十七絃は宮城道雄が開発した新しい楽器です。彼は曲だけでなく、新しい楽器の開発も行っていたのです。

曲のどのあたりで十七絃が使われているかというと、(宮城道雄の演奏でいうと)冒頭の0:00から登場します。箏の激しい旋律に隠れやすいのですが、1:33、2:54、3:56あたりは十七絃が聞きやすいでしょう。4:23以降は、十七絃の独奏です。

作曲背景

「春の海」の作曲背景を説明するページはたくさんあるのですが、「瀬音」の作曲背景を書いたページはあまりないようです。ですので、ここで簡単に説明しておきましょう。

「瀬音」が作曲されたのは1923年(大正12年)です。「春の海」の作曲が1929年末なので、その6年前にあたるわけです。

「瀬音」の楽譜である「宮城道雄作曲集」によると、「群馬県利根川の辺にて得られた印象」を元に作曲したそうです。利根川の川の流れを描写した音楽で、(「春の海」と同じく)典型的な標題音楽ですね。利根川の激しい川の流れを箏の旋律で、筏の曳航や穏やかな水面を十七絃の旋律で表現したとのことです。

「瀬音」を「見る」

上で挙げた音源は、いずれも音だけのものでした。しかし、「瀬音」は、映像つきで見るのもおもしろいのです。というのも、非常に独特な奏法がいくつか使われているからです。そこで、演奏者の映像つきの音源を挙げます。

動きがアクロバティックな曲なので、普通に見てもおもしろいのですが、特に注目すべきは筝(映像でいうと、向かって左側の女性です)の動きです。例えば、1:10と1:24で使われているのは、「裏連」という箏の伝統的な奏法です。かと思えば、2:49ではトレモロ、3:42では左手によるピッツィカートなどの西洋音楽的な奏法も登場します。

なお、ニコニコ動画に瀬音 宮城道雄 邦楽フェスティバル片岡リサ演奏会山岡 美奈子 出光賞という映像つきの動画があったのですが、カメラワークの都合上、箏の動きが見づらくなっています。ただ、演奏は上手なので、聞くだけでも価値があります。

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