渡邊美樹はなぜ「英雄」なのか-「英雄」論その四

2014年1月8日追記: 検索エンジンで検索してこの記事にいらっしゃる方が多いようなので、遅まきながら全体の目次を作成しました。

前回、渡邉美樹氏の「英雄」たる所以まで書きました。

今回は、彼が「英雄」になるに至った背景について書きます。

生い立ち

渡邊氏の生い立ちについては、ReLifeインタビューにて語られています。

恵まれた家庭に育ったのですが、母親の死、父親の会社清算、という2つの出来事を機に、裕福な家庭から一転して、非常に貧しくなりました。この悔しさから小学校の卒業アルバムに「おとなになったら社長になります」と書きました。

身近な人の死や、身近な人の遺志を継ぐこと。これはフィクション上の「英雄」に限らず、企業の創始者などによく見られるパターンですが、渡邊氏も見事にこのパターンを踏襲しています。

おもしろいのは、この後は「とにかく社長になる事は決めて」おり、そもそも社長になるべきか否かという悩みが全く出てこないことです。

恐らく、「母親の死、父親の会社清算」によって、渡邉氏は「自分は社長にならなくてはならない」という思いに支配されたのでしょう。彼は、生涯父母の遺した「呪い」(とあえて書きますが)に従って生きるのでしょう。

困難経験

この後のインタビューでは、社長になるための準備と経験談について語られていますが、特におもしろいものが、「宅配ドライバー時代」の話です。

思い出したくない経験ですね。毎日胸に辞表を入れてました。休みは一カ月に半日。毎日20時間労働をしていました。いつ休んでいたのかと言うと、赤信号のたびに睡眠を繰り返すという状況なんです。3、4回は過労で倒れました。過労で倒れた事ありますか?指の先まで痺れて動けなくなるんですよ。

一つだけ決めている事があって、自分の中で少しでも「逃げたい」「辛い」という気持ちがあるなら、辞表を出すのをやめようと。なぜなら、経営は格闘技ですよね。一度でも敵に背中を見せたら、負ける事を覚えてしまう。そんな奴が経営者として成功するはずがないじゃないですか。その思いだけで、1年間宅配ドライバーをやり続けました。

ここで、渡邊氏が村上龍と行った有名な対談をご紹介しましょう。「日経スペシャル カンブリア宮殿」における対談です(YouTubeの動画)。

無理をすると、無理が無理じゃなくなります。(03:48~)

悩みは、ありません。(10:04~)

「無理」というのは人間が思いこんでいるだけで、それを続けていれば克服できることが多い。だから、「無理」は存在しない。また、「悩み」も、それを解決するための手段を講じることによって解決できるのだから、「悩み」は存在しない……おおよそこんなことを述べています。

渡邊氏の思想には、こうした人間の能力や精神に対する絶対的信頼があるのですが、これを支えているのが、上記の「宅配ドライバー時代」なのだと考えられます。「宅配ドライバー時代」に、彼は「無理」が「無理」でなくなるという経験をしたに違いありません。

これ以外にも、彼の人生には様々なところで困難な経験があります。それらを通じて、人間には「無理」など存在しないのだという結論に至ったのでしょう。自己の困難経験を普遍化するのは、「英雄」や成功者にありがちなことですが、彼もそれと同じです。

以上、渡邉氏の思想的背景について見てきました。彼の思想に影響を与えたものとして、

  1. 身近な人の死や遺志
  2. 自己の困難経験

の二つを挙げましたが、これは渡邊氏に限らず、あらゆる「英雄」に共通するものです。

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