人はなんで生きるか

昨日は人生の意味を担保するために、目に見える証が必要だという話をしました。
今日はこの話を掘り下げてみます。

なお、以下「意味」「目的」「したいこと」といった言葉が使われますが、どれも同じことを意味していると考えてください。

意味の必要性

そもそも、なぜ人生に意味が必要なのか?

これは根源的な問題ですが、一言でいえば、「何の意味もなく生き続けるのは退屈だから」ということではないでしょうか。

「意味」と書くと大げさなので、「自分のしたいこと」といいかえてもよいかもしれません。

趣味に励むのも「したいこと」。広大な夢を持つのも「したいこと」。

あるいは、「毎日腹一杯飯を食って昼寝したい」というのも「したいこと」でしょう。

これらが全くなくなってしまったら……?

「したいこと」も何もなく、ただ漫然と生き続けることになるでしょう。

生まれてしまったから しかたなくただ生きる……… そんな生き方 オレには耐えられない
(三浦建太郎『ベルセルク』グリフィス)

夢を見ろ…! 人が生きるってことは夢を見るってことだぜ それを見なくなったら死人だ……長生きなんかにゃなんの意味もない………夢を見れるか否かがかんじん
(福本伸行『銀と金』平井銀二)

人間は大概のことには耐えることができる。だがなあ、たったひとつ退屈にだけは我慢できない動物なんだ。
(鈴木光司『らせん』高山竜司)

多くの作品(文学・漫画・アニメetc.)において、意味のない人生の無気力さ、意味のある人生の有意義さが説かれています注1
「夢」「意味」「目的」……様々な言葉で語られます。

「ただ生きることには意味はない」「生きがいを持つと人生が豊かになる」……。

色々いわれますが、究極的には「意味がないと人生は退屈だから」ということなのだと思います。

長期的な意味

しかし、「毎日腹一杯飯を食って昼寝したい」というレベルの目的であれば、誰しも持っているのではないでしょうか。
世間の人々の会話に耳をすませてみてください。

「ご馳走を食べたい」「旅行したい」「ゲームしたい」「セックスしたい」……。

あらゆる目的、もっといえば欲望にあふれています。
つまり、世間の多くの人は目的を既に持っているのです。十分すぎるほどに注2

では、なぜ「生きる目的がない」といった悩みがはびこるのか?

これは、人生という長い時間において持続できるだけの意味ではないからです。
いいかえれば、人生の目的とは、人生においてある程度持続できるだけの長期性を持つことが必要になるのです。

例えば、「ご馳走を食べたい」という目的は、食べてしまえばそれで完了してしまいます。
「ゲームしたい」という目的も、ゲームをしてしまえば、それで終わりですね。

こういった短期的な目的は、それを果たしてしまうと終わりになってしまうため、人生における目的とはなりづらいのです注3

意味と不可能性

では、人生の意味となりうるような長期的な目的を立てるためには、どうすればよいか?

それは、自分の人生において実現しにくい、できないほどの大きな目的を立てることです。

例えば、「世界平和」とか「全人類の幸福」といった目標です。

こういう目標が、自分の人生において実現することはまず考えにくいですね。下手すると、永遠に実現しないかもしれません。

こういう目標を立てれば、自分の人生の内には終わりが決して来ないので、人生の目的となりうるでしょう注4
ちなみに、これは個人に限らず、企業などもよくやる手法です注5

ちなみに、私の人生の目的は、「世界に存在するすべての学問・芸術を知ること」です。
これはほぼ100%実現不可能な目的ですが、だからこそ人生の目的として機能するのです。

以上、人生における意味の話をしてきました。
ただ、「意味」があるだけではだめで、「証」を残さないと「意味」を確認できないのだということは、昨日書いた通りです。

注釈

  1. 先日触れたソクラテスも、「ただ生きることではなく、善く生きることが重要だ」といっていました。 本文に戻る
  2. ただし、身体的・金銭的な不自由を抱えているため、「ご馳走を食べたい」「旅行したい」といった欲望を充足できない人たちは例外です。 本文に戻る
  3. もっとも、「ご馳走を食べたい」「ゲームしたい」が嵩じて、「ソムリエになりたい」「プロゲーマーとして活躍したい」となれば、これは人生の目的となりえます。ただ、これらは短期的ではなく長期的な目的です。 本文に戻る
  4. 実現しにくい目的の場合、実現された後に「人生の目的」を喪い、無気力状態に陥る恐れがあります。例えば、「子供が自立するまで育てる」という目的は困難ですが、不可能ではないでしょう。育児が終わった後に無気力になる母親が多いそうですが、恐らくこれが原因です。 本文に戻る
  5. 企業理念などを見ると、「関係者全員の幸福」とか、「人類の平和への貢献」とか、明らかに実現不可能な目的が立てられています。「年商1兆円」などの実現可能な目的は、理念というよりマイルストーンとして立てられているはずです。 本文に戻る
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